東京地方裁判所 平成6年(特わ)705号 判決
右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤昭、弁護人井上晴孝各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、東京都新宿区西新宿六丁目一七番九号タウンハイツ新宿B一に本店を置き、ゲームセンターの経営等を目的とする資本金五〇〇万円の城西興産株式会社(平成元年一二月三日解散、現在清算中)の取締役で同会社の実質的経営者(平成元年一二月三日以降は清算人)として、その業務全般を統括していたものであるが、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、立退料収入を得たのに、その収支を明らかにする帳簿等を作成せず、右収入を仮名の預金口座に入金するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が二億一五九五万二七四二円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、右法人税の納付期限である平成元年五月三一日までに、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所轄新宿税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における法人税額八九七三万一二〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書四通
一 鈴木基美子及び山口徳男の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の売上調査書、人件費調査書、販売促進費調査書、交際費調査書、通信費調査書、水道光熱費調査書、支払家賃調査書、店内経費調査書、租税公課調査書、敷金償却調査書、受取利息調査書、支払利息調査書、固定資産除却損調査書、取り壊し費用調査書、立退料調査書、支払立退料調査書、仲介手数料調査書、交渉手数料調査書、損金算入法人税調査書、損金不算入住民税利子割り調査書、損金算入附帯税調査書及び控除所得税調査書
一 検察事務官作成の報告書
一 登記官作成の登記簿謄本
(法令の適用)
一 罰条
法人税法一五九条一項(罰金刑の寡額については、刑法六条、一〇条により、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)
二 刑種の選択 懲役刑と罰金刑を併科。
三 労役場留置 刑法一八条
四 刑の執行猶予 刑法二五条一項
(量刑の理由)
本件は、法人税約九千万円の無申告ほ脱犯であるところ、犯行の罪質、態様、動機、結果、被告人の役割等のほか、被告人は昭和六三年一一月に常習賭博罪により懲役一年、執行猶予三年に処せられたのに、その執行猶予期間中に本件犯行に及んだこと、被告人は反省の態度を示しており、本件脱税にかかる本税の大半を納付しており、附帯税を含む残余についても納税の見込が立っていることなどの諸般の事情を総合考慮して、主文の刑を定めた。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 懲役一年及び罰金一五〇〇万円)
(裁判官 安廣文夫)
別紙1 修正損益計算書
<省略>
別紙2 ほ脱税額計算書
<省略>